※画像はイメージです。伊賀上野城
Iga Ueno Castle
伊賀上野城は慶長16年(1611年)改修に築かれた関西の名城。城主は藤堂高虎(Tōdō Takatora)。
概要
城について
伊賀上野城は三重県伊賀市の中心部、上野盆地を一望する丘の上に立つ城郭である。忍者の里・伊賀の象徴として知られ、現在の天守は昭和10年(1935年)に地元出身の政治家・川崎克が私費で再建した模擬天守であるが、高さ約30メートルの白亜の姿は伊賀盆地に凛然とそびえ、「白鳳城」の別名でも親しまれる。この地に本格的な城郭を築いたのは「築城の名手」と名高い藤堂高虎である。高虎は慶長16年(1611年)から大規模な改修工事を開始し、天下無双の高石垣を構築した。
藤堂高虎と日本一の高石垣
藤堂高虎は戦国・江戸初期を代表する築城家で、今治城・津城・篠山城など数多くの名城を手掛けた築城の天才である。伊賀上野城の本丸に構築された石垣は高さ約30メートルに達し、当時日本一の高石垣として知られた(現在も全国屈指の高さを誇る)。野面積みを基礎としながら上部を打込みはぎで仕上げたこの石垣は、高虎の築城技術の集大成ともいえる傑作である。石垣の美しさと迫力は訪れる者を圧倒し、城郭ファンの間では「見せ場」としての評価が極めて高い。慶長17年(1612年)、五層の大天守が完成間際に暴風雨で倒壊するという悲劇が起き、その後天守は再建されなかった。倒壊した天守の代わりに高石垣だけが残り、「幻の天守台」として後世に伝わった。
忍者の城・伊賀の文化
伊賀は甲賀と並ぶ日本最大の忍者の里である。伊賀忍者は情報収集・謀略・潜入に卓越し、戦国時代には諸大名に仕えた。伊賀上野城の周辺には伊賀流忍者博物館があり、忍者屋敷の仕掛けや忍具の展示、忍者ショーが行われる。俳聖・松尾芭蕉の生誕地でもある伊賀上野は、忍者文化と俳諧文化が共存する独特の歴史都市である。芭蕉記念館・俳聖殿とあわせて上野公園内を散策すると、城・忍者・俳諧という伊賀の三つの顔を一度に味わうことができる。
天守の復元と川崎克
現在の木造天守は昭和10年(1935年)に建設されたもので、地元の政治家・実業家であった川崎克が「古城の復活」を悲願として私財を投じて建設した。内部は伊賀の歴史資料・甲冑・武器を展示する博物館となっており、藤堂家ゆかりの甲冑や刀装具も収蔵されている。木造建築として再建されたため昭和の「模擬天守」の中でも最高水準の部類に入り、建物自体が三重県の文化財に指定されている。
城下町と観光
上野公園として整備された城跡は、春には桜の名所として多くの花見客を集める。伊賀鉄道「上野市駅」から徒歩圏内にあり、観光拠点としてのアクセスも良好である。周辺の上野城下町には忍者関連の土産物店や飲食店が並び、伊賀牛のしゃぶしゃぶや伊賀米の食文化も旅の楽しみのひとつである。芭蕉の句碑が各所に残る城下町の風情と、日本一の高石垣の迫力が、伊賀上野城を訪れる者に忘れがたい印象を与える。
刀剣との関わり
伊賀上野城と刀剣の関わりは、築城主・藤堂高虎の刀剣観と、忍者文化における特殊武器の伝統という二つの軸から語ることができる。藤堂高虎は信長・秀吉・家康という三人の天下人に仕えた希代の武将・築城家であり、生涯を通じて多数の名刀を収集した。高虎は豊臣秀吉の形見分けとして名物の太刀「大兼光」(備前長船兼光、のち重要文化財指定)を受けるなど多くの名刀に縁があり、その刀剣観は藤堂家ゆかりの品々として今に伝えられている。伊賀上野城の天守内部には藤堂家ゆかりの甲冑・刀装具が展示されており、高虎の美意識と武人としての気概を伝えている。一方、忍者文化における武器体系は日本刀とは異なる独自の発展を遂げた。伊賀忍者が用いた「忍刀(しのびがたな)」は通常の日本刀より短く直刀に近く、鞘を梯子代わりにする・水深を測るなど多用途に用いられた機能的な武器である。忍刀の鍔(つば)は四角く小さく、鎧の隙間を縫うための直線的な切っ先を持つものが多かった。伊賀流忍者博物館には各種の忍具とともに忍刀の展示があり、日本刀の優美さとは対照的な忍者の実用武器の世界を見ることができる。また、忍者が修めた「居合」的な技術は後の剣術流派にも影響を与えており、伊賀出身の武芸者が江戸時代に各藩で剣術師範として活躍した記録も残る。伊賀上野は日本刀の美の世界と忍者の実用武器の世界が交差する、日本の武器文化の多様性を体感できる稀有な地である。
見どころ
- 日本一の高石垣 — 高さ約30mの本丸石垣は藤堂高虎の築城技術の極致。石垣マニア必見
- 木造模擬天守 — 昭和10年建設の木造天守は博物館として藤堂家の甲冑・刀装具を展示
- 伊賀流忍者博物館 — 忍者屋敷の仕掛けと忍具・忍刀の展示、忍者ショーを毎日開催
- 俳聖殿 — 松尾芭蕉生誕300年記念に建設された八角形の堂。城跡内に佇む
- 上野公園の桜 — 約200本の桜が咲き誇る伊賀随一の花見スポット
- 伊賀牛グルメ — 城下町の飲食店で味わう伊賀牛のしゃぶしゃぶは旅の至福
※開館時間・入場料は変更される場合があります。訪問前に公式サイトをご確認ください。