※画像はイメージです。加賀本多博物館
Kaga Honda Museum
概要
加賀本多博物館は、加賀藩の年寄(家老)職を世襲した加賀本多家に伝来した武具・調度・古文書を公開する私設博物館である。旧称を「藩老本多蔵品館」といい、大名家そのものではなく大名家の重臣に伝わった一括資料を核とする点で、全国的にも希少な武家コレクション館として知られる。
加賀本多家という家
加賀藩前田家は加賀・能登・越中三国におよぶ「加賀百万石」を領した、江戸期最大の外様大名である。その家臣団の頂点には八家(はっか)と呼ばれる年寄職の家々が置かれ、加賀本多家はそのうち最高の五万石を給された筆頭家老の家柄であった。五万石という知行は、そのまま独立した大名としても通用する規模であり、本多家が加賀藩政において占めた比重の大きさを物語る。
家祖の本多政重は、徳川家康の謀臣として知られる本多正信の次男にあたる。政重は諸家を渡り歩いたのち前田家に仕え、藩政の確立に深く関与した。加賀本多家の伝来品には、この政重所用と伝わる品々が含まれており、徳川譜代の血脈が外様大藩の中枢に接続した経緯を、実物資料の側から辿ることができる。
収蔵品——刀剣・甲冑・槍・馬具
館の収蔵品の中心は、歴代当主が実際に用いた武具類である。刀剣・槍・薙刀といった武器のほか、甲冑・兜が伝わり、あわせて前田家から拝領した品々、書画、漆工品、古文書などが収められている。
とりわけ評価が高いのが馬具のコレクションで、鞍・鐙・轡から馬印・馬装具一式に至るまで、合戦時の騎馬装束を体系的に復元しうる規模で伝存している点は国内でも屈指とされる。刀剣単体を鑑賞する美術館とは異なり、刀・槍・甲冑・馬具が「一つの家の戦闘装備」として揃って残っていることが当館の性格を決定づけており、日本刀を武家社会の装備体系のなかに位置づけて理解するうえで貴重な場となっている。
建物と立地
館は金沢市出羽町の「本多の森」に位置する。この一帯はかつて本多家の広大な屋敷地であり、その名を今に残す。建物には明治期の赤レンガ建築が用いられ、石川県立歴史博物館と隣接して文化施設が集まる区画を形成している。兼六園・金沢城公園からも徒歩圏にあり、加賀藩の政治空間と家臣団の居住空間を一続きに歩いて把握できる立地にある。
見どころ
- 加賀藩筆頭家老・本多家五万石に伝来した武具の一括資料。大名家ではなく重臣家に伝わったコレクションとして全国的にも希少
- 刀剣・槍・薙刀に加え甲冑・兜が揃い、一つの武家の戦闘装備を体系として把握できる
- 鞍・鐙・轡から馬印まで揃う馬具コレクションは国内屈指と評される
- 家祖・本多政重は徳川家康の謀臣本多正信の次男。徳川譜代の血脈が外様大藩の中枢に入った経緯を実物で辿れる
- 明治期の赤レンガ建築を用い、本多家旧屋敷地「本多の森」に立地。石川県立歴史博物館と隣接
※開館時間・展示内容は変更される場合があります。訪問前に公式サイトをご確認ください。