※画像はイメージです。石川県立美術館(前田育徳会尊経閣文庫分館)
Ishikawa Prefectural Museum of Art (Maeda Ikutoku Foundation Sonkeikaku Library Branch)
概要
石川県立美術館は、1959年(昭和34年)に開館した石川県を代表する総合美術館であり、加賀藩前田家の遺産を核とする前田育徳会のコレクションを常設展示する「前田育徳会尊経閣文庫分館」を館内に擁することで、日本刀愛好家にとって極めて重要な訪問地となっている。
前田育徳会は、江戸時代を通じて加賀藩100万石を統治した前田家が明治期に設立した財団法人であり、前田家歴代が秘蔵した美術品・武具・文書類を今日まで管理・保存している。同コレクションには国宝22件・重要文化財77件が含まれ、なかでも刀剣部門は日本最高峰のコレクションとして知られる。
国宝・天下五剣「大典太光世」
尊経閣文庫が所蔵する太刀「銘 光世作(名物大典太)」は、「天下五剣」の一振として名高い国宝刀剣の至宝である。三池光世(みいけみつよ)が平安時代末期(11世紀後半)に打ったとされるこの太刀は、その巨大な風格と神秘的な来歴から、古来「人を近づけない霊剣」として畏れられてきた。室町将軍・足利義昭から豊臣秀吉の手に渡り、のちに豊臣秀吉から加賀藩初代藩主・前田利家に贈られたと伝わる。以来、前田家の家宝として400年以上にわたり厳重に保管されてきた。
国宝「富田江」
同じく国宝指定の刀「無銘義弘(名物富田江)」は、南北朝時代の名工・越中国の郷義弘(ごうよしひろ、江義弘とも)の傑作として評価されている。豊臣秀吉の重臣・富田一白(とみたいっぱく)が所持したことに由来する「富田江」の号を持ち、1598年(慶長3年)に前田家へ移ったと伝わる。
重要文化財「前田藤四郎」
短刀「銘 吉光(名物前田藤四郎)」は、鎌倉時代の京都粟田口派の名工・藤四郎吉光(ふじしろよしみつ)の作とされる重要文化財。前田家の所蔵品として長く伝来した一振であり、吉光の短刀特有の鋭さと品格を今に伝える。
2024年4月に開催された特別展「加賀藩前田家の名刀—天下五剣の名宝「大典太光世」が石川に—」では、57年ぶりに三振が同時公開され、刀剣ファンのみならず国内外から大きな注目を集めた。北陸新幹線の延伸開通(2024年3月)を機に金沢へのアクセスも一層向上し、来館者数は増加傾向にある。
前田育徳会コレクションの常設展示では年間を通じて工芸品・絵画・文書とともに刀剣が展示されており、国宝級の名刀を身近で鑑賞できる機会として日本国内でも特別な位置を占める施設である。館内の「長谷川等伯「松林図屏風」模本」なども名高く、刀剣以外の日本美術も含む充実した見応えを誇る。
見どころ
- 国宝「太刀 銘 光世作(名物大典太光世)」— 天下五剣のひとつ
- 国宝「刀 無銘義弘(名物富田江)」— 前田家伝来の越中義弘作
- 重要文化財「短刀 銘 吉光(名物前田藤四郎)」— 粟田口吉光作
- 前田育徳会尊経閣文庫分館 — 22件の国宝・77件の重要文化財を管理
- 加賀百万石前田家の武具・甲冑コレクション
- 2024年57年ぶり三振同時公開で話題を呼んだ刀剣展示
※開館時間・展示内容は変更される場合があります。訪問前に公式サイトをご確認ください。