玖島城(大村城)
Kushima Castle (Ōmura Castle)
玖島城(大村城)は安土桃山時代〜江戸時代(慶長3年〈1598年〉末着工、慶長4年〈1599年〉築城、明治4年〈1871年〉の廃藩置県まで存続)に築かれた九州の名城。城主は大村喜前(初代大村藩主)以下、12代純熈まで大村氏(大村藩2万7千石)(Ōmura Yoshiaki, first lord of Ōmura domain, and his successors down to the twelfth lord Sumihiro — the Ōmura clan (Ōmura domain, 27,000 koku))。
概要
概要
玖島城は、長崎県大村市玖島に築かれた平山城で、大村城の別名でも呼ばれる。三方を海に囲まれた半島状の地形を利用した海城であり、大村湾に直接臨む立地が最大の特徴である。初代大村藩主・大村喜前が築いて以来、12代藩主・純熈に至るまでおよそ270年にわたり、大村藩2万7千石の政治の中心であり続けた。城跡は現在、大村公園として整備されている。
築城の経緯
豊臣秀吉の死後、天下の帰趨が定まらず情勢が不安定になるなか、諸大名は戦乱に備えて築城を進めた。喜前も、それまでの居城であった三城城に代わる新たな城の建設に着手する。当初は杭出津の地が選ばれたが、玖島の地形が城地として優れていることが判明し、玖島への築城に変更された。三方を海に囲まれ、守りやすく攻めにくい海城を築くのに適していたためである。喜前は秀吉の朝鮮出兵に際して名護屋城や壱岐・勝本城の普請に加わり、中央の最新の築城技術に接していた。また朝鮮では順天の倭城に籠もり、海に囲まれた城の堅固さを身をもって学んだといわれ、その経験が玖島城の縄張りに生かされた。工事は慶長3年(1598年)末に始まり、翌慶長4年(1599年)に完成した。
慶長19年の大改修
慶長19年(1614年)、2代藩主・大村純頼のときに大規模な改修が行われた。この改修については、喜前と親しかった熊本城の築城者・加藤清正の指導を受けたといわれる(ただし清正は改修着手前の慶長16年〈1611年〉に没している)。改修では築城当初に北側にあった大手口を南側へ移し、大手門周辺には石を加工して積む「打込接(うちこみはぎ)」の石垣が築かれた。現在も大手口から板敷櫓に向かって、美しい曲線を描く石垣が残っている。
構造
城内は本丸・二の丸・三の丸で構成され、6つの櫓が建てられた。本丸に天守閣は設けられず、藩主の館と藩政を執り行う施設が置かれている。城の周囲には堀が巡らされ、さらに海中にも捨堀などが設けられて、敵が容易に近づけない造りとなっていた。築城当初の野面積みの石垣と土塁も今日に伝わり、改修後の打込接の石垣とあわせて、築城技術の変遷を一つの城で読み取ることができる。
現状
玖島城は一度も戦火にさらされることなく、明治4年(1871年)の廃藩置県によってその役目を終えた。現在は本丸および南側の堀の石垣が現存し、平成4年(1992年)には板敷櫓が木造で復元されている。本丸跡には歴代の大村家当主を祀る大村神社が鎮座し、桜と花菖蒲の名所としても知られる大村公園として、多くの人が訪れる場となっている。
刀剣との関わり
玖島城に伝来した名刀として広く知られるものは、確かな典拠の上では確認できない。ここでは無理に刀剣の逸話を結びつけず、城と藩の置かれた文脈から述べる。 玖島城が築かれた肥前国では、江戸時代を通じて佐賀藩鍋島家の抱え工・初代忠吉に始まる肥前刀の一門が栄え、肥前は九州を代表する作刀地の一つとなった。ただしこれは佐賀藩に属する刀工集団であり、大村藩に固有の刀工流派が伝えられているわけではない。大村藩は2万7千石の小藩であり、藩お抱えの著名な刀工を擁したという記録は見当たらない。 一方で、大村氏は鎌倉時代からこの地の地頭を務め、戦国期には初代藩主・喜前が朝鮮出兵に従軍して順天の倭城に籠城するなど、実戦を経験した武家である。喜前の父・純忠は日本最初のキリシタン大名として知られる。城が一度も戦火にさらされなかったことは、逆に言えば近世大名としての大村氏が武を実際に振るう機会を持たなかったことを意味しており、藩主家の刀剣は実用よりも家格を示す什宝としての性格を強めていったと考えられる。本丸跡の大村神社は歴代の大村家当主を祀り、藩主家ゆかりの歴史を今に伝えている。
見どころ
- 曲線を描く打込接の石垣 — 慶長19年の大改修で築かれ、大手口から板敷櫓へと続く
- 築城当初の野面積み石垣と土塁 — 慶長4年(1599年)当時の面影を残す
- 板敷櫓 — 平成4年(1992年)に木造で復元
- 御船蔵跡 — 藩船を格納した海城ならではの遺構、長崎県指定史跡
- 大村神社とオオムラザクラ — 歴代藩主を祀る本丸跡の社と国の天然記念物の桜
※開館時間・入場料は変更される場合があります。訪問前に公式サイトをご確認ください。