※画像はイメージです。五島美術館
Gotoh Museum
概要
美術館の概要
五島美術館は、東急グループの創設者・五島慶太(一八八二〜一九五九)が生涯をかけて蒐集した東洋古美術コレクションを所蔵する私立美術館である。一九六〇年(昭和三十五年)に開館した同館は、世田谷区上野毛の閑静な丘の上に位置し、母屋(本館)と庭園が一体となった趣深い環境の中で約五千点に及ぶ所蔵品を公開している。建築は名建築家・吉田五十八の設計による数寄屋造り風の近代和風建築で、日本庭園の緑の中に溶け込む佇まいは、東洋美術の展示にこれ以上ない舞台を提供している。国宝五点・重要文化財五十点以上を所蔵する私立美術館として、五島美術館は日本の文化財保護と美術鑑賞における最高水準の施設の一つである。
主要コレクション
五島美術館のコレクションは書画・陶磁・工芸・刀剣・染織など多岐にわたる。中でも特に著名なのが、国宝「源氏物語絵巻」断簡である。平安時代後期に制作されたこの絵巻は、現存する最古の源氏物語絵として日本美術史上最重要の作品の一つであり、毎年春の特別展示期間中には長蛇の列ができるほどの集客力を持つ。書の分野では藤原佐理・藤原行成・小野道風の「三跡」の作品を含む平安・鎌倉の名筆が揃い、書道史の宝庫としても名高い。
刀剣コレクション
五島美術館の刀剣コレクションは量・質ともに私立美術館としては最高水準に属する。重要文化財に指定される複数の名刀を所蔵しており、平安時代の古刀から江戸時代の新刀まで、日本刀の歴史的展開を示す優品が揃っている。特に古刀の分野では山城伝・備前伝の名品が含まれており、五島慶太が目利きの鑑識眼で蒐集した刀剣群は、現在も専門家から高い評価を受けている。刀装具についても鐔・小柄・笄など優れた金工作品が含まれており、刀剣全体の美術世界を体感できる展示が行われる。
日本庭園と美術館環境
五島美術館の魅力の一つは、上野毛の丘に広がる約六千坪(約二万㎡)の日本庭園である。多摩丘陵の自然地形を活かした起伏のある庭園には、梅・桜・紅葉・茶室など四季折々の景観が広がり、展示鑑賞の前後に心を静める理想的な散策空間を提供している。都会の喧騒から切り離されたこの庭園と美術館の組み合わせは、日本の伝統美術の鑑賞に最もふさわしい環境の一つと言えよう。茶の湯にも造詣の深かった五島慶太の美意識は、建築・庭園・展示すべてにわたって体現されている。
企画展と所蔵品公開
年間を通じて複数の企画展が開催され、所蔵品の中から毎回テーマを絞った展示が行われる。国宝「源氏物語絵巻」は毎年春に限定公開され、多くの来場者の目を釘付けにする。刀剣特集の企画展では重要文化財の名刀が公開され、刀剣愛好家にとって見逃せない機会となる。都内の中心部からやや離れた立地ながら、東急大井町線「上野毛駅」から徒歩五分という利便性から、幅広い層の来場者が訪れる美術館である。
見どころ
- 国宝「源氏物語絵巻」── 現存最古の源氏物語絵として日本美術史最高峰の断簡を所蔵。毎年春の限定公開には全国から鑑賞者が集まる圧倒的な名品
- 重要文化財指定の名刀── 山城伝・備前伝を中心に、平安〜江戸にわたる日本刀の歴史的展開を示す優品群。五島慶太の確かな鑑識眼が選んだ刀剣コレクション
- 刀装具・金工の精華── 重要文化財を含む鐔・小柄・笄など、江戸時代金工の名品が揃う。刀身とともに鑑賞することで、刀剣美術の全体像が把握できる
- 吉田五十八設計の数寄屋建築── 昭和モダンの名建築が日本庭園と一体化した展示環境。東京随一の雅な美術館空間として内外の評価が高い
- 約六千坪の日本庭園── 梅・桜・紅葉と茶室が四季を彩る上野毛の丘の庭園。展示鑑賞の前後に静かな日本の自然美を堪能できる都会の別天地
※開館時間・展示内容は変更される場合があります。訪問前に公式サイトをご確認ください。