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※画像はイメージです。売立(うりたて)とは、個人や名家が所蔵品を決まった期日に売る入札形式の会のことです。売立会の開催に先立って配られる冊子が売立目録で、入札目録や売立入札目録とも呼ばれます。刀剣の世界では、蔵品の来歴をたどる際に手がかりになる資料のひとつです。ここでは、売立目録が何を載せ、何を載せないのかを整理し、研究や鑑賞に使うときの注意点を述べます。
売立会は、所蔵者や名家が品物を市場に出す入札形式の会です。参加者は会の前に配られた目録を見て、どの品物に入札するかを検討します。目録は、会で扱う品物を事前に知らせる役割を持っていました。
目録に載るのは、書画や骨董などの美術作品の図版と品目名、形態です。一方で、入札額や落札額は載っていません。そのため、目録だけを見て価格の水準を判断することはできません。
売立会は、美術商の協同組合である各地の美術倶楽部が主催してきました。東京、大阪、京都、名古屋、金沢などの美術倶楽部が、それぞれ入札売立会を開いていたことは、関連書籍の収録範囲からも確認できます。
『美術商の百年』は、1903年から1943年までの各地の美術倶楽部の入札売立会を収録しているほか、1951年以降の主要な売立会も収録しています。また『東京美術市場史』は、1911年から1977年に東京美術倶楽部で行われた約850回の入札会のうち、基準価格以上の約2万件を収録しています。これらの書籍は、売立目録の内容を補う参照先として役立ちます。
東京文化財研究所は売立目録を所蔵しており、「売立目録作品情報」を公開しています。所蔵する売立目録は2,565件で、そのうち2,328件が公開対象です。公開対象は第二次世界大戦終結以前に発行された目録で、約33万7,000件の作品について、テキストデータで情報を検索できるようになっています。
ただし、目録そのものには入札額や落札額が載らないため、価格の動きを追うには別の資料が必要です。公開された作品情報は、作品名などを手がかりにして、売りに出された時期や経路を追う使い方が中心になります。
出典: 国立国会図書館 カレントアウェアネス「売立目録作品情報」の公開
売立目録は、一般の出版物と違い書誌事項(発行年や発行元など)が欠けていることが多い資料です。そのため、目録を引用するときは、発行年と主催者をできる限り確かめる必要があります。
売立目録を一点ずつ読むと、ある刀剣が誰の所蔵品として市場に出され、どの時期に売りに出されたのかを追う手がかりになります。個別の刀剣の来歴を調べるときは、目録の記録と、現在の所蔵館や鑑定の記録を突き合わせることが欠かせません。
現在の刀剣市場でも、入札形式の会は続いています。過去の売立会の仕組みを知っておくと、今の入札会や競売の記録を読むときにも、何が記録され何が記録されていないのかを区別しやすくなります。
オンラインカタログでは、現在販売中の刀剣を閲覧できます。
目録を読む際は、掲載された品目名と図版から作品を特定し、同じ作品が他の資料でどう記録されているかを照合することが基本になります。目録の記載だけで作品を断定せず、所蔵館の記録や鑑定の記録と照らし合わせて確かめる姿勢が、資料を正確に扱うための前提です。
複数の目録を比べられる場合は、それぞれの記載を突き合わせて確かめるのが安全です。一点の記録だけで来歴を断定しないことが、古い売立目録を扱ううえでの基本になります。
売立目録は、明治後期から昭和期にかけての美術品の動きを知るための記録としても使えます。蔵品がどの時期にどの会で扱われたかを整理しておくと、後から来歴を調べる人にとっても確かめやすい資料になります。
日本刀×日本文化体験
観光スポットと刀剣文化をつなぐ多言語展開。