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※画像はイメージです。「折り紙付き」という言葉は、いまでは品質や評判が確かだと認められたものを指して日常的に使われる。この言葉のもとになったのが、日本刀の世界で使われた「折紙(おりがみ)」である。折紙とは、主に江戸時代に刀剣鑑定を家業とした本阿弥家が発行した鑑定書のことで、奉書紙や檀紙といった和紙を二つ折りにした形式から、この名で呼ばれるようになったとされる。
この記事では、折紙がどのような書類で、何が書かれ、なぜ「折紙付き」が信用の代名詞になったのかを整理する。あわせて、現代の鑑定書との違いも確認しておく。
折紙は、刀剣の鑑定結果を記して発行された書面である。紙を二つ折りにする様式が名の由来で、公的な性格を帯びた鑑定の証として扱われた。発行したのは、室町時代以前から刀の研磨・手入れ・鑑定に携わってきた本阿弥家である。名古屋刀剣博物館の解説などによれば、折紙を発行できたのは本家のみで、鑑定は本家と分家の合議によって行われたと伝えられる。
制度の始まりについては、資料によって年代の説明が異なる。慶長年間(1596年頃)に刀剣の極め所としての鑑定制度が整ったとする説明もあれば、元和年間に本阿弥光徳が極め所となったとする説明もある。いずれにせよ、江戸時代の初期に、将軍家や大名家の刀剣を鑑定する役目を本阿弥家が担う仕組みが整い、その鑑定結果を書面にしたものが折紙として流通したと理解しておけばよい。
折紙が重んじられた背景には、次のような事情がある。
正式な折紙には、一般に次のような事項が記されたとされる。
代付は、金貨の単位である「枚」や、銭貨の単位である「貫」で示された。たとえば、ある代の本阿弥家当主の折紙には「金五枚」と記された例が知られる。ただし、代付の意味づけについては資料によって説明が分かれる。実際の売買価格そのものを示したとする見方もあれば、売買価格とは別に、刀の格を示す評価の目安だったとする見方もある。ここでは、代付が刀の価値を金額の形で表した記載だったとだけ押さえておく。
また、正式な折紙には、紙の裏に本阿弥家を示す角印が押されたとする説明がある。ただし、書面の存在だけで刀の真贋が保証されるわけではなく、刀と書面の対応は別に確かめる必要がある。
本阿弥家の折紙が付いた刀は、鑑定の裏付けがあるものとして価値が高まった。ここから、人物や物事について「評価や力量が確かで、保証できる」という意味で「折紙付き」「折り紙付き」と言うようになったとされる。刀の世界の用語が一般の言葉として定着した例のひとつで、刀剣文化が日本語に残した足跡といえる。
なお、後の時代には折紙の信用が揺らいだ面もある。江戸中期以降、折紙が乱発されたという指摘があり、分家との合議を経ない「内証折紙」を当主が出した例も語られている。権威ある書類であるほど、運用が緩むと信頼が損なわれやすいということである。
現代の刀剣の鑑定は、公益財団法人日本美術刀剣保存協会などが行う審査と、それに基づく鑑定書が中心となっている。折紙と現代の鑑定書の違いを、おおまかに整理すると次のようになる。
古い刀に折紙が添えられていれば、その刀が江戸時代にどう評価されていたかを知る資料になる。一方で、折紙の極めが現代の鑑定結果と一致するとは限らない。時代により鑑定の基準や研究の蓄積が異なるためである。折紙は「当時の評価の記録」として読むのが適切だろう。
刀剣の売買や鑑賞で折紙に出会ったときは、次の点を意識しておくとよい。
折紙は、日本刀が単なる武器ではなく、鑑定と権威によって価値が裏付けられる美術品でもあったことを示す書類である。鑑定と流通の関係をさらに知りたい場合は、江戸中期の刀剣鑑定ブームと本阿弥家や、金象嵌銘・銀象嵌銘の技法も参考になる。
参考にした解説: 刀剣の折紙とは(名古屋刀剣博物館)、本阿弥家と折紙(刀剣ワールド)
日本刀×日本文化体験
観光スポットと刀剣文化をつなぐ多言語展開。