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※画像はイメージです。日本刀を「新しく作る」ことは、実は誰にでも自由に許されているわけではない。現代の刀匠は、法律にもとづく手続きを踏んではじめて、美術品としての日本刀を打つことができる。この仕組みが「作刀承認」である。本稿では、制度の骨格と、刀を買う側から見たときの意味を整理する。
日本では、刀剣類の所持は原則として禁じられている。そのうえで、美術品として価値のあるものだけが例外として扱われる。所持の側では、都道府県教育委員会の審査を受けて登録証が交付される仕組みがある。
製作の側にも同じ考え方が及ぶ。銃砲刀剣類所持等取締法には、美術品として価値のある刀剣類を作ろうとする者は、作る刀剣類ごとに、住所地の都道府県教育委員会の承認を受けなければならないという趣旨の規定がある(政令で定める場合は文化庁長官が承認する)。条文はe-Govの法令検索で確認できる。
つまり承認の単位は「人」ではなく「作る一振りごと」である。一度免許を得れば何本でも自由に打てる、という制度ではない。
刀匠が一振りを世に出すまでの大まかな流れは次のとおりである。
ここで大切なのは、承認が「美術品として価値のある刀剣類を作ること」の許可であるという点だ。工業製品として量産する刀や、武器としての刀を作る許可ではない。承認の細目は省令で定められており、申請の様式や基準もそこに書かれている。
現代刀(現代の刀匠が打った新作刀)を求めるとき、この制度は二つの意味を持つ。
古い刀には古い刀の見方があるが、新作刀では「誰が、いつ、どの手続きで作ったか」が明確である。これは購入後の管理にも安心につながる。登録証の扱いそのものについては、日本刀の登録証制度の記事が詳しい。
承認を受けて作刀するには、当然ながら技術の裏付けが要る。現代の刀匠の多くは、師匠のもとで数年にわたり修業を積み、鍛錬や焼き入れ、さらに茎の仕立てまでを身につけたのち独立する。修業の実情は現代の刀匠修業で触れている。
独立後は、作刀を続けながら展覧会などで作品を発表していく。作風は流派ごとに特色があり、現代の刀匠がどの伝を継いでいるかは令和の刀匠の作風比較から手がかりを得られる。
作刀の承認と並んで、原料の玉鋼も特別な存在である。玉鋼はたたら製鉄で作られる鋼で、刀匠の仕事を素材の面から支えている。素材と制度の両方がそろって、はじめて現代に日本刀が作り続けられている。玉鋼については玉鋼とたたら製鉄を参照されたい。
作刀承認については、次のような誤解が少なくない。
この三点を押さえておけば、新作刀の紹介文を読むときに、どこまでが制度の話でどこからが作品の話かを切り分けやすい。
新作刀は、古い刀と違って、地鉄や刃文の出来を作者本人の作風として追いかけられるのが魅力である。同じ刀匠が打った複数の作品を見比べれば、得意とする刃文や姿の傾向が見えてくる。承認の仕組みを知っていると、その一振りが「一つの手続きを経て生まれた作品」であるという実感も湧く。
古刀や新刀を鑑賞する場合とは違い、制作年代がはっきりしている点も、新作刀ならではの強みである。
作刀承認は、日本刀を美術品として守り、同時に社会の安全と両立させるための仕組みである。刀を作る側は一振りごとに手続きを踏み、買う側はその結果として、素性の明らかな新作刀を手にできる。
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