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※画像はイメージです。日本刀を海外の買い手へ送るときは、日本から出すための手続きと、受け取る国で刀を輸入・所持するための規則の両方を満たす必要があります。この記事は後者のうち、アメリカ・イギリス・オーストラリア・カナダについて、各国の法令データベースや税関の資料で確かめた範囲だけをまとめます。ヨーロッパ大陸とアジアは「日本刀の輸入規制 国別ガイド(欧州・アジア)」で扱います。
日本側の手続き(文化庁の古美術品輸出鑑査証明と、登録証を登録した都道府県の教育委員会へ返納すること)は「日本刀を海外に持ち出す方法」にまとめています(文化庁「古美術品輸出鑑査証明」)。拵に象牙やべっ甲などワシントン条約の対象の素材があれば、日本からの輸出に経済産業省が扱う輸出許可書が要ります(経済産業省「ワシントン条約(CITES)」)。取引全体の流れは「日本刀海外輸出規制と国際市場」をご覧ください。
受取国の規則は改正されることがあります。以下は条文を読むための手がかりで、最終的な確認は受取人がその国の税関・警察で行うことが前提です。
アメリカの連邦法で、国外からの持ち込みを含めて流通を禁じている刃物として条文に名前があるのは、飛出しナイフ(switchblade knife)です。
これらの条文と、税関・国境警備局(CBP)の旅行者向けの「持ち込みが禁止・制限される品目」の頁に、刀剣を名指しする項目はありません(CBP「Prohibited and Restricted Items」)。関税の品目表(HTS)には、刀剣の 9307.00.00(Swords, cutlasses, bayonets…)と、製作から 100 年を超えるこっとうの 9706 があります(米国国際貿易委員会 HTS)。どちらで申告するかと税率は、受取人の側で通関業者や CBP に確かめてください。
拵に象牙を使った刀は注意が要ります。CBP の同じ頁は、イボイノシシの牙を除くほぼすべての象牙の輸入に米国魚類野生生物局(FWS)の許可が要るとし、100 年以上前の骨董品なら年代を証明する書類をつけて輸入できる(ほかの要件がかかることもある)と案内しています。
所持・携帯の規則は州や市の法令で別に定められていることがあります。受取人に、住んでいる州・市の規則を確かめてもらってください。
Criminal Justice Act 1988 の 141 条は、命令で指定した武器の製造・販売・貸出し・販売目的の所持・貸与や贈与を罪とし、(4) でその武器の輸入を禁じています。イングランドとウェールズでは 2021 年 7 月 14 日から、私的な場所での所持も罪になりました((1A)。legislation.gov.uk「Criminal Justice Act 1988 section 141」)。
指定の一覧は The Criminal Justice Act 1988 (Offensive Weapons) Order 1988 の附則にあり、1 (r) が「a sword with a curved blade of 50 centimetres or over in length」、つまり刃の長さが 50cm 以上の曲がった刃の刀を挙げます。刃の長さは柄の上端から切っ先までの直線距離です(legislation.gov.uk「The Criminal Justice Act 1988 (Offensive Weapons) Order 1988」附則)。同じ附則の例外は次の 2 つです。
附則 3 は受取人が「示す」抗弁なので、作刀の年代・作者・手作りであることがわかる資料を渡せるようにしておくとよいでしょう。イングランドとウェールズでは 2025 年 8 月 1 日から、まっすぐな刃・切れない峰・タントー型の切っ先を持つ「ninja sword」(刃の長さ 14〜24 インチ)も 1 (u) に加わっています。
公共の場所で刃のある物を持つことは、正当な理由か法的な権限がない限り別に 139 条の罪になります(legislation.gov.uk「Criminal Justice Act 1988 section 139」)。この附則の命令はスコットランドでは取り消され、2005 年のスコットランド用の命令に置き換わっているので、スコットランドあてはその命令を受取人の側で確かめてください。
連邦の Customs (Prohibited Imports) Regulations 1956 の 4H 条は、附則 13 の第 2 部に挙げた武器を、その項目の基準(公用・特定の目的・販売業者・警察の証明など)のどれかを満たさない限り輸入禁止としています(Federal Register of Legislation「Customs (Prohibited Imports) Regulations 1956」)。
所持の規則は州・準州ごとです。ビクトリア州の警察は、刀剣を州の Control of Weapons Act 1990 と Control of Weapons Regulations 2021 の禁止武器(prohibited weapons)とし、刃が切れなくても刀剣に当たるとしたうえで、所持には警察本部長の承認(Chief Commissioner's Approval)か、総督の適用除外命令(Governor in Council exemption)の対象であることが要ると案内しています(Victoria Police「List of prohibited weapons」)。ほかの州・準州あては、受取人にその州の警察で確かめてもらってください。
カナダ国境サービス庁(CBSA)の Memorandum D19-13-2 は、禁止武器(prohibited weapon)に分類されるのは刑法 84 条 1 項の定義に当たるもの(自動で刃が開くナイフと、規則で禁止武器と定めた武器)だけで、法で特に禁じられていない武器は一般に輸入できる(admissible)と説明しています(CBSA「Memorandum D19-13-2」)。
メモランダムが挙げる規則上の禁止武器には、ヌンチャク・手裏剣・万力鎖・プッシュダガーなどがあります。刀剣(sword)に触れているのは、長さ 30cm を超える仕込み杖を「一般に禁止武器に当たらない」例とした箇所(33 項)だけです。刀と一緒に送る小物が禁止武器に当たらないかを確かめ、州や市の携帯などの規則は受取人の側で確かめてください。
| 国 | 確かめた規定 | 刀に関わる点 | 受取人が確かめること |
|---|---|---|---|
| アメリカ | 15 U.S.C. 1241・1242、19 CFR 12.97、CBP の頁 | 名指しされるのは飛出しナイフ。象牙の拵は FWS の許可か年代の証明 | HTS の番号と税率、州・市の規則 |
| イギリス | Criminal Justice Act 1988 s141・s139、1988 年の命令の附則 | 50cm 以上の曲刀は一覧の対象。骨董品は対象外、1954 年より前か手作りなら抗弁 | 抗弁を示す資料、スコットランドの命令 |
| オーストラリア | Customs (Prohibited Imports) Regulations 1956 附則 13 | 連邦の一覧に刀剣の項目は無い | 州・準州の所持の要件(ビクトリア州は承認か適用除外) |
| カナダ | CBSA Memorandum D19-13-2 | 刀剣の項目は無い。手裏剣などは禁止武器 | 同梱する小物、州・市の規則 |
オーストラリアのように、連邦の輸入の一覧に刀剣の項目が無くても、州の規則で所持に承認が要る国もあります。送り手が条文の入口を押さえ、受取人がその国の窓口で最終確認をする、という分担で進めるのが確実です。
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