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※画像はイメージです。五箇伝(ごかでん)は、相州伝・備前伝・美濃伝・大和伝・山城伝の五つの作風の系統を指す。いずれも古刀期に各地で形づくられた作風で、現代の刀匠もそれぞれの伝法を手本に作刀を続けている。本稿では、五箇伝の作風を刃文と地鉄の用語で整理し、現代の刀匠の仕事に触れられる施設と、刀匠になるための制度を紹介する。五箇伝の全体像は日本刀の五箇伝とはでも扱っている。
相州伝は、鎌倉時代末期に相模国(現在の神奈川県)で完成した作風で、正宗・貞宗らの名で知られる。刃文と地鉄には次のような見どころがある。
沸や金筋は、焼き入れの際の土置きや温度、鋼の性質が重なって生まれる景色である。沸と匂の見分け方は沸と匂の見分け方、相州伝の刀工については相州伝の刀工列伝で詳しく扱っている。
備前伝は、備前国(現在の岡山県南東部)の長船を中心に栄えた作風である。
映りの成り立ちは映りの発生原理で解説している。
長船には、瀬戸内市の「備前おさふね刀剣の里 備前長船刀剣博物館」があり、刀剣の展示のほか、常駐する職方(刀匠・塗師・白銀師・金工師)の作業を見学できる。研師・鞘師・柄巻師などの作業も定期的に公開されている(瀬戸内市「備前長船刀剣博物館」)。
美濃伝は、美濃国関(現在の岐阜県関市)を中心とする作風で、兼元・兼定らの刀工で知られる。
美濃伝の歴史は美濃伝の全史、兼元については兼元(孫六兼元)で扱っている。
関市の「関鍛冶伝承館」は、関鍛冶の歴史や刀装具の資料を映像・展示で紹介し、兼元や兼定などの日本刀を展示している。古式日本刀鍛錬の一般公開も行っている。なお2026年9月時点の案内では、2026年9月7日から2027年3月31日までリニューアル工事のため休館の予定とされている(関市「関鍛冶伝承館」)。
大和伝は大和国(現在の奈良県)の作風で、柾目肌の交じる地鉄と、直刃を基調とする刃文に特徴がある。山城伝は京都の作風で、粟田口派や来派が代表とされ、小沸出来の直刃や、細かく詰んだ地鉄が見どころになる。
直刃は、刃文の線がまっすぐなぶん、焼き入れのむらや地鉄の乱れがそのまま表に出る。華やかな乱れ刃とは別の意味で、作り手の技量がよく表れる刃文といえる。大和伝は大和伝の全史、山城伝の名工は来国俊や粟田口吉光の生涯と作刀技法で扱っている。
五箇伝の作風を現代に伝えているのは、文化庁の作刀承認を受けた刀匠である。刀匠になるには、作刀承認を受けた刀匠のもとで5年以上修業し、文化庁主催の「美術刀剣刀匠技術保存研修会」を修了する必要がある(全日本刀匠会「刀鍛冶になりたい方へ」)。
作刀には時間もかかる。美術刀剣類の製作承認の審査基準では、1口あたりの鍛錬日数を、太刀・刀・なぎなたは15日以上、脇差・短刀等は10日以上としている(青森県「美術刀剣類の製作承認」審査基準)。
五箇伝は、古い刀の作風を見分けるための枠組みであると同時に、現代の作刀の手本でもある。刀を鑑賞するときは、沸と匂、刃文の形、地鉄の肌といった見どころを手がかりに、どの伝法の流れをくむ作かを考えてみると、一振りの見え方が変わってくる。五箇伝の地鉄の違いは五箇伝の地鉄比較論でも比べている。
日本刀×日本文化体験
観光スポットと刀剣文化をつなぐ多言語展開。