※画像はイメージです。中鉢美術館
Chubachi Museum
概要
中鉢美術館は、宮城県大崎市岩出山(旧・玉造郡岩出山町)に所在する日本刀専門の私設美術館である。JR陸羽東線・有備館駅から徒歩約1分という好立地に位置し、一般財団法人日本刀剣博物技術研究財団(にほんとうけんはくぶつぎじゅつけんきゅうざいだん)と提携して、東北地方が育んだ日本刀文化の普及・啓発を担っている。
奥州刀の専門ミュージアムとして
中鉢美術館が誇る最大の特徴は、東北(奥州・出羽)の刀工が生み出した日本刀を体系的に展示するという他に類を見ない専門性にある。常時約50振を展示し、日本の美術工芸のなかで国際的に最高の評価を受ける日本刀を通じて、その歴史的起源と東北との深い関わりを来館者に伝えることを使命としている。
展示は主に以下の三系統で構成される:
舞草系(まいくさけい)
平安時代末期から鎌倉時代にかけて岩手県平泉周辺で活躍した舞草派(もくさは)の刀工群は、「現存する在銘奥州刀の最古」とも評される逸品を生み出した。平泉・中尊寺を中心とした文化圏において鍛刀を行った彼らの作品は、中央(大和・山城・備前)の刀工とは異なる地方色と独自の美質を持つ。当館が収蔵する舞草系の太刀は、在銘で現存する最古の奥州刀として研究者からも高く評価されている。
玉作系(たまつくりけい)
宮城県北部(玉造郡周辺)に活躍の場を持った玉作系の刀工たちは、鎌倉末期から南北朝期にかけて数多くの太刀・薙刀・短刀を生み出した。北方的な力強さを持ちながら鎌倉様式の洗練さも兼ね備えたその作風は、東北の鍛冶文化を語る上で欠かせない存在である。当館の收蔵品には、「法寿」銘の一連の作品が含まれており、同工の変遷を辿ることができる。
月山系(がっさんけい)
出羽三山(羽黒山・月山・湯殿山)周辺に源を持つ月山派は、独特の「綾杉肌(あやすぎはだ)」と呼ばれる鍛え肌で知られる。この杉の木目を思わせる特異な肌模様は月山派のみが持つ特徴であり、現在も月山貞利(がっさんさだとし)ら現代刀工に受け継がれている。当館では月山系の太刀・刀を複数収蔵し、その技術的系譜と時代変遷を展示している。
また館内では三系統以外にも、著名な刀工・正宗(まさむね)・村正(むらまさ)の作品や諸国の刀、さらには異色の資料として外国の刀剣・アイヌ刀なども展示しており、日本刀を広い文化的文脈のなかで捉え直す試みも行っている。
岩出山は伊達政宗が関ヶ原前まで居城としていた岩出山城の城下であり、近隣の有備館(国指定名勝・旧岩出山城の学問所)とあわせて歴史散策の拠点としても機能している。東北の刀剣文化に関心を持つ研究者・愛好家にとって必訪の地である。
見どころ
- 奥州刀(舞草・玉作・月山三系統)の体系的展示
- 在銘で現存する最古の奥州刀(舞草派)を所蔵
- 月山派「綾杉肌」刀剣の技術系譜展示
- 正宗・村正など著名刀工作品も展示
- 外国刀・アイヌ刀の比較展示
- 伊達政宗の旧城下・岩出山に立地、有備館(国指定名勝)に隣接
※開館時間・展示内容は変更される場合があります。訪問前に公式サイトをご確認ください。