※画像はイメージです。短刀国宝
筑州住行弘
Chikushū-jū Yukihiro
別名: 短刀 銘 筑州住行弘 観応元年八月日・土浦藩土屋家伝来の短刀
解説
筑前左文字派の稀少な在銘作
行弘は南北朝時代に筑前国(現・福岡県)で活動した刀工で、名工・左文字の系統に連なる筑前左文字派の一人とされる。本作「短刀 銘 筑州住行弘 観応元年八月日」は、銘に観応元年(1350年)八月の年紀を刻む。行弘の在銘作は極めて少なく、なかでも年紀まで揃う作例は本刀のみとされる。1957年(昭和32年)2月19日に国宝に指定された。
作風
平造り。地鉄は板目に杢目が交じり、刃寄りにやや流れる肌合いを見せる。刃文は小のたれ調に互の目・尖り刃が交じり、下半には砂流し・金筋がかかる。帽子は乱れ込んで突き上げ、先が尖る特徴的な形状を示す。刃長は約23.5センチ、わずかに内反りがつく。
伝来
常陸国土浦藩(現・茨城県土浦市)を治めた土屋家に伝来した一口で、松平若狭守康信の娘で土屋政直の妻となった郁子を介し、政直へ贈られたと伝えられる。以後は土屋家の重宝として伝わり、現在は土浦市立博物館が所蔵・公開する。
位置づけ
左文字一門の作風は互の目・尖り刃を交えた覇気ある刃文を特色とするが、行弘のように年紀と作者銘を確実に併記する在銘作は同派全体でも稀で、南北朝期の筑前鍛冶を知るうえで基準作の一つに数えられる。