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※画像はイメージです。日本刀の素材である玉鋼は、「たたら製鉄」と呼ばれる日本固有の製鉄技術によって生み出される。砂鉄と木炭のみを用い、粘土製の炉(高殿)で三昼夜にわたって燃焼させるこの技法は、古代から江戸末期まで日本の鉄生産を支え続けた。
たたら製鉄に用いる砂鉄は、花崗岩が風化・堆積した「真砂砂鉄」が最上とされる。チタン分が少なく、純度の高い鉄分を含む真砂砂鉄は、中国地方(島根・鳥取・広島)の山間部に豊富に産出した。木炭は松や楢などの硬木炭を使用し、炉内温度と還元雰囲気の制御に直結する。原料の産地と品質の見極めが、最終的な玉鋼の出来を大きく左右する。
操業は「村下(むらげ)」と呼ばれる最高技術者が指揮する。炉に砂鉄と木炭を交互に投入しながら約70時間燃焼させると、炉底に「けら」と呼ばれる鉄塊が生成される。けらは解体後に破砕し、炭素含有量によって分類される。このうち炭素量0.6〜1.5%前後の部分が玉鋼として選別され、日本刀の素材となる。
破砕されたけらの断面を観察し、結晶の輝きと破面の状態から炭素量を判別するのは、熟練の目だけが持つ技術である。刃部に用いる「皮鉄」用の高炭素鋼と、心部に用いる「心鉄」用の低炭素鋼を適切に組み合わせることで、刀匠は強靭さと粘りを両立させた刀身を作り上げる。
明治以降の近代製鉄の普及でたたら製鉄は一度途絶したが、現在は公益財団法人日本美術刀剣保存協会(日刀保)が島根県奥出雲町の「日刀保たたら」で年間操業を続けている。生産された玉鋼は登録刀匠に頒布され、伝統技法による日本刀製作の命脈を支えている。古代の製鉄法が2026年の今もなお、世界唯一の形で受け継がれていることは、日本の刀剣文化の底深さを示している。
日本刀×日本文化体験
観光スポットと刀剣文化をつなぐ多言語展開。