新着情報 — 最新の入荷情報はカタログをご確認ください。 商品を見る →
※画像はイメージです。短刀(たんとう)は法的には刃長1尺(約30cm)未満の刀剣と定義されるが、実際には1尺〜1尺3寸(約30〜39cm)のものも「短刀」として分類される場合がある。刃長1尺以上1尺8寸未満は脇差(わきざし)であるが、境界は必ずしも厳密ではない。
形状(造込み・つくりこみ)による分類が短刀鑑定の基本である。断面形状・鎬の有無・横手の有無・刃の付き方によって、短刀はいくつかの造込みに分けられる。時代や地域によってどの形式が多く作られたかが異なり、造込みは流派・刀工研究の重要な手がかりとなる。
平造りは鎬(しのぎ)をもたない断面が平板な造込みで、短刀に最も多く採用される基本形式である。
特徴:
平造りの短刀は鎌倉時代に隆盛し、相州(さがみ)伝の開祖的刀工・新藤五国光(しんとうごくにみつ)が手がけた平造り三つ棟の短刀が名高い。国光の短刀は1293年〜1324年頃の作が記録され、代表作「会津新藤五」(刃長25.5cm、昭和26年国宝指定、ふくやま美術館所蔵)をはじめ国宝に指定された名品が複数現存する。その特徴は薄く細身の直刃に「ほつれ」「うちのけ」を交えた繊細な刃文で、後の相州伝の美意識の原型をなす。
鎬造りは太刀・打刀と同様に刀身側面に鎬筋が通る断面形状で、短刀では鎌倉期中期以降に見られる。平造りより剛性が高く、強度を求める実戦用短刀に適する。鎬が入ることで刀身が折れにくくなり、斬撃にも刺突にも対応できる。
菖蒲造りは横手(よこて)を持たず、鎬筋がハバキ元(はばきもと)から切先(きっさき)まで一直線に通る造込みである。刃幅が切先に向かって細くなる姿が菖蒲(しょうぶ)の葉に似ていることから命名された。
特徴:
菖蒲造りは「片菖蒲造り」(かたしょうぶつくり)という変形もあり、片面が平造り・もう一面が菖蒲造りになったものを指す。
冠落造りは鵜の首造りの変形で、鎬地の上半部の側肉を斜めに削ぎ落とした特殊な断面形状である。切先付近の棟(むね)側を削り落としたような形が「冠を落とした」姿に見えることが名称の由来。
特徴:
鵜の首造りは上半部の鎬が高く棟寄りになり薄くなるが、切先付近で再び鎬が厚くなる特殊な断面形状で、横から見ると鵜(うみどり)の首に似た輪郭を呈する。短刀のみに見られる造込みとされる。
特徴:
来国俊(らいくにとし)・吉光(よしみつ・藤四郎)ら粟田口系の刀工が手がけた鵜の首造り短刀は高く評価される。
両刃造り(双刃造り)は刀身の両側に刃をつけた短刀で、古代の剣(けん)の系統を引く形式である。主に神社奉納・儀礼用として製作され、実戦よりも象徴的・宗教的意義が強い。現代の短刀作品でも両刃造りは高い工芸的表現として評価される。
「寸延び短刀」は一般的な短刀より刃長が長め(1尺〜1尺3寸前後)の短刀を指す俗称的分類である。脇差との境界域にある刀剣だが、造込みや姿形が脇差でなく短刀の典型に準じる場合に用いられる。南北朝時代(14世紀)には大型化の傾向から寸延び短刀が数多く製作され、「大短刀(おおたんとう)」「太刀形短刀」とも呼ばれる大振りな作品が残る。
鎧通しは甲冑(鎧)を貫通する目的で設計された特殊短刀で、主に戦国時代(室町後期〜安土桃山期)に使用された。接近戦(組み討ち)の際、倒した相手の鎧の隙間から刺し込む用途に特化している。
形状的特徴:
接近戦で鎧の隙間(脇・首もと等)に刺し込む用法に特化しており、斬撃より刺突重視の設計である。
短刀の造込みには以下のような時代的傾向がある:
| 時代 | 主な造込み |
|---|---|
| 鎌倉前期 | 平造り(新藤五・粟田口系) |
| 鎌倉後期〜南北朝 | 鵜の首・冠落造り(来・相州系) |
| 南北朝 | 寸延び短刀(大型化傾向) |
| 室町末期 | 菖蒲造り(三原物) |
| 戦国 | 鎧通し(実戦重視) |
| 江戸期 | 平造り・鎬造り(鑑賞重視) |
造込みは時代・流派を見分ける「第一印象」であり、NBTHKの審査においても造込みの時代整合性が鑑定の基準のひとつとなる。
日本刀×日本文化体験
観光スポットと刀剣文化をつなぐ多言語展開。