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※画像はイメージです。「おろし鉄(卸し鉄)」とは、たたら製鉄で生産された玉鋼を刀匠が鍛冶炉で再度加熱し、折り返し鍛錬の前工程として行う「荒ほぐし・精錬鍛造」の工程を指す。「おろす」という言葉には「素材を加工可能な状態に整える」というニュアンスがあり、この工程によって玉鋼に含まれるスラグ(非金属介在物)・過剰炭素・不均質部分を排出・均質化する。

玉鋼はたたら製鉄の産物であるが、生産されたままの状態では炭素含有量(0.5〜1.5%の範囲でばらつきがある)・スラグの分布・組織の均質性が必ずしも刀剣製作に適した状態にない。おろし鉄工程はこれらの問題を解消するための、極めて技術的かつ科学的な精錬作業である。
たたら製鉄で得られる玉鋼には、以下のような課題がある。
刀匠が行うおろし鉄工程は、以下のステップで構成される。
現代冶金学の観点から整理すると、おろし鉄で起きている現象は以下の通りである。
おろし鉄工程において刀匠が頼る「火色(ひいろ)の判断」——鋼の色を見て温度を判定する技術——は、黒体放射の物理学に基づいている。暗赤色(600℃程度)から橙・黄(900〜1100℃)、白熱(1200℃超)という色の変化は、鋼の放射輝度が温度によって変化する現象を利用したものである。数百年にわたって積み重ねられた職人の経験知が、現代物理学の理論と精確に対応しているという事実は、伝統工芸の科学的合理性を示す好例である。
おろし鉄工程は、見た目には激しい槌打ちと火花の飛散に見えるが、その本質は「不均質な素材を均質な素材に変換する精錬・精製の化学反応」だ。この工程を経て初めて、玉鋼は刀身の素材として相応しい状態となり、後の折り返し鍛錬・火造り・焼き入れの諸工程が真の効果を発揮できる。日本刀の品質はおろし鉄の精度によって大きく左右されると言っても過言ではない。TOUKENZAでは、こうした精錬工程を経た玉鋼から打たれた日本刀をオンラインでご覧いただけます。出品中の刀剣一覧よりご確認ください。