※画像はイメージです。井上真改
Inoue Shinkai
解説
井上真改(いのうえしんかい、1630〜1682年)は、江戸時代前期に大坂で活躍した新刀鍛冶の巨匠であり、津田助廣(つだすけひろ)と並び「大阪新刀(おおさかしんとう)の双璧」と称される名工である。「最上大業物」に列せられ、斬れ味・地鉄・刃文の三拍子が揃った新刀期の最高峰の一つとして今日も最高の評価を誇る。初代の「和泉守国貞(いずみのかみくにさだ)」を父に持ち、父の没後に「真改(しんかい)」と改名・改銘して二代目として独自の作風を大成した。
真改の作刀の最大の特徴は、互の目(ぐのめ)・大互の目(おおぐのめ)を基調とした豪壮な刃文と、精密で明るい大坂特有の地鉄にある。地鉄(じがね)は小板目(こいため)が精密に詰み、地沸(じにえ)が均等に細かく付いた明るく冴えた肌合いで、大坂新刀特有の洗練された都市的美感を体現している。刃文(はもん)は大互の目乱れ(おおぐのめみだれ)を中心に湾れ(のたれ)が交じる壮大な乱れで、刃縁(はぶち)には均整のとれた匂口(においくち)が走り、刃中(はなか)には金筋(きんすじ)・砂流し(すながし)が活発に働く。互の目の形は独特の頭(あたま)が丸くなだらかで、均等な間隔を保ちながら全体として統一感のある大きな乱れを形成する点が真改の個性的な特徴とされる。
助廣の「濤瀾刃」が波涛の動的な美を追求したのに対し、真改は互の目の規則正しい繰り返しの中に荘重な秩序美を見出した。この両巨匠が互いに競い合いながら大阪新刀の美的水準を極限まで高めた17世紀後半は、日本刀の歴史においても「新刀の黄金時代」と評される時期である。
銘は「井上真改」「和泉守真改」「和泉守藤原真改」などが確認されており、年号・月次入りの細かな在銘作が多く現存する。現在、真改の作刀は特別重要刀剣・重要刀剣に多数指定されており、刀剣博物館・大阪市立美術館・国内外の著名な美術館・個人コレクションに所蔵されている。
代表作
- 刀 銘 井上真改 延宝◯年◯月(特別重要刀剣)
- 刀 銘 和泉守真改(刀剣博物館蔵・重要刀剣)
- 脇差 銘 井上真改(特別重要刀剣)