※画像はイメージです。蜘蛛巣城
Throne of Blood
黒澤明監督による1957年の日本映画。シェイクスピア『マクベス』を戦国時代の日本に翻案し、三船敏郎演じる武将・鷲津武時が野心に取り憑かれ主君を裏切り、最後は自軍の矢の雨に射られて絶命する。主君から太刀を授かる場面など、刀は武士の忠誠と身分の象徴として描かれる。
解説
概要
『蜘蛛巣城』(英題: Throne of Blood)は、黒澤明監督による1957年の日本映画。シェイクスピアの戯曲『マクベス』を、時代・場所を特定しない戦国時代の日本に置き換えて翻案した作品で、主演は三船敏郎、共演に山田五十鈴。舞台となる11世紀スコットランドを日本の戦国時代に置き換えつつ、原作の台詞をそのまま訳すのではなく能楽の様式を取り入れた独自の演出で再構成している。
物語と太刀の授与
武将・鷲津武時(三船敏郎、マクベスに相当)は、盟友・三木義明とともに主君から蜘蛛手の森で妖婆の予言を受ける。物語序盤、鷲津と三木は主君から新たな太刀と所領を授かる場面が描かれ、太刀は武士としての身分と忠誠の証として機能する。しかし妻・浅茅(山田五十鈴、レディ・マクベスに相当)の唆しにより鷲津は主君を暗殺し、権力を簒奪していく。
鎧・弓と最期の場面
鷲津の鎧は当時の日本でも古様式とされる大鎧(おおよろい)が用いられ、色漆塗りの板札と組紐が特徴的な意匠として画面に映える。物語の結末では、離反した自軍の兵が鷲津の籠る城に矢を射かけ、鷲津は無数の矢を全身に受けて絶命する。この最期は刀ではなく弓矢によるものだが、実際の矢を至近距離から俳優に向けて放つ撮影が行われたことで知られ、映画史上屈指の緊迫した場面として評価されている。
能楽様式との融合
黒澤は西洋の悲劇と能楽の様式美を融合させることを狙い、山田五十鈴が演じる浅茅の抑制された表情や所作は能面・能の型を強く意識した演出とされる。台詞回しや音楽にも能の要素が取り入れられ、単なる翻案を超えた独自の映像詩として評価された。
評価と影響
公開当時の日本国内では興行的にも批評的にも突出した成功とは言えなかったが、海外では黒澤の代表作の一つ、シェイクスピア翻案映画の最高峰として高く評価され、後年クライテリオン・コレクションに収録されるなど、時代を経て再評価が進んだ。武士に太刀が授けられる場面や大鎧の描写は、戦国時代における刀剣・武具の身分的意味を映像化した例として、後続の時代劇に影響を与えたとされる。
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