龍が如く 維新!極
Like a Dragon: Ishin!
セガ・RGGスタジオが開発した幕末の京都を舞台にしたアクションRPG。龍が如くシリーズのキャラクターたちが幕末の志士・武士として登場し、坂本龍馬を主人公として浪士組・新選組との戦いや維新の激動を描く。2014年発売の原作を2023年にリメイク(PS5/PS4/Xbox/PC対応)。日本刀・拳・銃・乱舞の四つの戦闘スタイルが融合したユニークな戦闘システムと、幕末の京都を精緻に再現したオープンワールドで、刀剣文化を現代のゲームファンに提供している。
解説
龍が如く 維新!極と幕末の京都
『龍が如く 維新!極』(Like a Dragon: Ishin!)は、セガ・RGGスタジオが開発した幕末京都を舞台にしたアクションRPGである。2014年に発売された原作をPS5など現行機向けに全面リメイクした本作(2023年発売)は、「龍が如く」シリーズ独特のキャスティング――現代ヤクザ劇のキャラクターたちが幕末の人物として登場――と、幕末の歴史・文化に対する高い考証精度を融合させた意欲作だ。
主人公は坂本龍馬(声:黒田崇矢、現代の桐生一馬の容姿)が演じ、近藤勇・土方歳三・沖田総司・高杉晋作ら幕末の実在の志士たちと絡み合いながら、「天一坊(幻の将軍)」を巡る陰謀と戦っていく。舞台となる「京」は安政〜慶応年間の京都を精緻に再現したオープンワールドであり、壬生の新選組屯所・祇園・島原など幕末の京都の名所が実名・実際の場所に即して登場する。
四つの戦闘スタイルと日本刀
本作の戦闘システムの最大の特徴は、「一刀(剣)」「格闘(拳)」「短銃(銃)」「乱舞」の四つのスタイルを自在に切り替えられることである。これは幕末という時代に特有の武器事情――刀がまだ主力武器であると同時に、西洋式銃が急速に普及し始めた過渡期――をゲームシステムで表現している。
一刀スタイルでは、幕末の剣術を模した様々な技が使用でき、必殺技の中には居合い斬り・燕返しなど実際の剣術用語に由来する名前を持つものも多い。乱舞スタイルは二刀を奔放に振るう派手な連続攻撃を特徴とし、複数の敵を相手にした乱戦で威力を発揮する動きが見られる。
本作のゲーム内で使用できる打刀の種類も豊富で、直刀・反り刀・薙刀型・片手半など様々な形状と性能を持つ刀剣が登場する。これはゲームとしてのバリエーションであるが、同時に日本刀が単一の形状ではなく、時代・用途・刀工によって多彩な形状を持つものであることをプレイヤーに自然と伝えている。
新選組と幕末の剣士たち
本作の大きな魅力のひとつは、新選組の描写の濃さである。近藤勇・土方歳三・沖田総司・斎藤一など新選組の主要人物が龍が如くシリーズの主要キャラクターの顔で登場し、彼らの剣術・戦い方が個性的なゲームプレイとして表現されている。
史実の新選組は天然理心流を中核とし、「局中法度(きょくちゅうはっと)」と呼ばれる厳格な規律のもとに運営された剣士集団であった。土方歳三の愛刀・和泉守兼定、沖田総司の愛刀・加州清光(かしゅうきよみつ)などは、幕末刀剣の代表的な名品として現代でも高い評価を受けている。本作をきっかけに新選組・幕末刀剣に関心を持つプレイヤーが増えることは、日本刀文化の普及という観点から非常に歓迎すべき現象といえる。
幕末の京都と刀剣文化の再現
本作が再現する幕末の京都は、刀剣文化の観点から見ても非常に興味深い舞台である。京都は山城国の刀工集団(三条・粟田口・来派など)を生み出した地であり、平安〜室町時代の日本刀文化の中心地であった。その京都に幕末の激動が訪れ、新選組が壬生に屯所を構え、長州・薩摩・幕府の志士たちが刀を帯びて行き交う時代が展開された。
ゲーム内の「京」を歩くことで、プレイヤーは幕末の街並みと刀剣文化の関係を直感的に体験できる。壬生の新選組屯所跡(壬生寺)・池田屋事件の現場・坂本龍馬が寓居した寺田屋(伏見区)など、現代でも観光できる実際の場所がゲーム内にも登場し、ゲームから実際の歴史観光への橋渡し効果が期待できる。
龍が如く 維新!極と刀剣座
『龍が如く 維新!極』は、エンターテインメントとしての楽しさと幕末の歴史・文化への深い関心を両立した稀有な作品である。このゲームをきっかけに幕末の日本刀に興味を持ったプレイヤーは、実際の幕末刀の美しさを実物で確認することで、ゲームの体験がさらに豊かな意味を持つことを発見するだろう。
刀剣座では、坂本龍馬・土方歳三が帯びたような幕末期の打刀の流れを汲む刀剣を取り扱っており、ゲームの世界から実際の刀剣鑑賞への自然な橋渡しを提供している。
登場する実在の刀剣
加州清光(沖田総司の愛刀)
新選組一番隊組長・沖田総司の愛刀として伝わる加州清光の打刀。加州(加賀国)の刀工・清光の作で、幕末の実戦刀として高い評価を受ける。沖田は天才的な剣士として知られ、その「三段突き」は伝説的な剣技として語り継がれる。『龍が如く 維新!極』でも沖田総司は個性的な剣術スタイルを持つキャラクターとして登場し、このゲームをきっかけに沖田・加州清光への関心を持つファンが多い。加州清光は刀剣博物館や個人所蔵品として現存例が知られている。
和泉守兼定(土方歳三の愛刀)
新選組副長・土方歳三の愛刀・会津の和泉守兼定は、幕末刀剣の代名詞ともいえる存在。土方が函館での最後の戦いまで帯びたとされるこの刀は、幕末という時代の終焉を象徴している。『龍が如く 維新!極』では土方が重要な敵対キャラクターとして登場し、そのキャラクター人気を通じてこの刀への関心が高まっている。
陸奥守吉行(坂本龍馬の愛刀)
主人公・坂本龍馬の愛刀として史実に伝わる土佐の打刀。近江屋事件で龍馬が所持していた実物は、1931年に北海道の坂本家子孫から京都国立博物館に寄贈され、同館に所蔵されている。幕末の志士が実際に使用した刀剣の代表例として貴重な文化財である。『龍が如く 維新!極』では龍馬の主人公としてのストーリーが展開されるため、この刀剣への関心はゲームを通じて自然と高まる。
幕末三傑鍛冶の打刀
源清麿・細川正義・栗原信秀らは幕末期に活躍した優れた刀工であり、その作品は現在も重要文化財として高い評価を受ける。幕末の激動の時代に刀工たちが一本一本丹念に打ち上げた刀剣は、刀剣博物館(東京・両国)や各地の美術館で鑑賞することができる。ゲームの幕末体験から実物の刀剣鑑賞への橋渡しとして、これらの作品は最適な入門である。
本物の日本刀を見る
本物の日本刀を見る※本ページは日本刀文化の紹介を目的としており、各作品の著作権者とは関係ありません。