地獄門
Gate of Hell (1953)
衣笠貞之助監督による1953年の大映作品。平安末期の武士社会を舞台に、人妻への執着から悲劇を招く武士・盛遠を描き、日本初のイーストマンカラー長編劇映画としてカンヌ映画祭グランプリ・アカデミー賞名誉賞を受賞した。
解説
概要
『地獄門』(英題: Gate of Hell)は、衣笠貞之助監督による1953年の大映作品。原作は菊池寛の戯曲『袈裟の夫』。日本初の国産イーストマンカラーによる長編劇映画として制作され、海外にも公開された最初期の日本製カラー映画の一つ。
あらすじ
舞台は平安時代末期、平治の乱の直後。武士・遠藤盛遠(演: 長谷川一夫)は、乱の鎮圧に功をあげた褒美として何でも望みを叶えると言われ、人妻・袈裟御前(演: 京マチ子)への恋慕を望む。しかし袈裟にはすでに夫・渡(演: 山形勲)がおり、盛遠の執拗な求愛が悲劇的な結末を招く。
日本刀と武士社会
物語のクライマックスでは、盛遠が渡を亡き者にしようと夜陰に紛れて夫婦の寝所に忍び込むが、袈裟が夫の身代わりとなって盛遠の刀で斬られる。刀は劇中を通じて武士の身分・忠義・執着の象徴として描かれ、平安末期に武士が台頭する時代の緊張を体現する小道具として機能している。
受賞と評価
1954年のカンヌ国際映画祭でグランプリ(パルム・ドールに相当する当時の最高賞)を受賞し、同年のアカデミー賞では衣装デザイン賞を受賞、名誉賞(外国語映画賞に相当する当時の特別賞)も授与された。黒澤明『羅生門』(1950年)に続き、平安〜鎌倉期の武士社会を海外の観客に紹介した作品として位置づけられている。
文化的影響
大映初のカラー作品として日本映画史における技術的意義も大きく、色彩設計は伝統的な日本絵巻物の色使いを参照したとされる。海外での成功は、日本の時代劇・武士映画が国際的な評価を得る先駆けの一つとなった。
登場する実在の刀剣
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