※画像はイメージです。太刀 銘 一(長篠一文字)
Tachi signed "Ichi" (Nagashino Ichimonji)
別名: 長篠一文字・武者所刀
解説
概要
「長篠一文字(ながしのいちもんじ)」は、鎌倉時代中期に備前国(現在の岡山県)で栄えた福岡一文字派の作と伝わる太刀で、刃長70.9センチメートル。茎に「一」の一字銘が切られていることから「太刀 銘 一」とも呼ばれる。天正3年(1575年)の長篠の戦いにおける功により、織田信長が奥平信昌に下賜したことからこの名がある。
作風
福岡一文字派は、備前伝の中でも華やかな丁子刃を得意とした一派で、鎌倉中期の一文字派を代表する刀工集団として知られる。本作もまた大ぶりの丁子乱れを主体とした変化に富む刃文を示し、地鉄は小板目肌がよくつみ、地沸厚くつく。姿は鎌倉期太刀特有の腰反りが高く、鋒(きっさき)にかけて優美に伸びる、豪壮かつ気品ある出来映えを示している。
来歴
長篠の戦いにおいて、奥平信昌(当時は貞昌)は寡兵ながら長篠城に籠城し、武田勝頼率いる大軍を相手に籠城戦を耐え抜いた。城兵はわずか500程度であったと伝わり、圧倒的劣勢の中での持久戦は、後詰めとして到着した織田・徳川連合軍が設楽原において武田軍を破る決定的な布石となった。この功績を高く評価した織田信長は、信昌に自身の一字「信」を与えて名を信昌と改めさせるとともに、この太刀を下賜したと伝わる。
指定
本作は昭和に入り国宝に指定され、長く奥平家ゆかりの家系および関連企業により守り伝えられてきた。福岡一文字派の太刀の中でも保存状態・出来の双方に優れる代表作として評価が高く、鎌倉期の備前刀を代表する一振として研究者の注目も集めている。
現所蔵
現在は個人の所蔵となっており、静岡県三島市の佐野美術館に寄託され、同館の展示や特別展を通じて公開される機会がある。
逸話
わずかな兵力で武田の大軍を長篠城に釘付けにした奥平信昌の奮戦は、後の長篠設楽原の戦いにおける織田・徳川連合軍の勝利を導いた重要な布石となった。信長からの偏諱と太刀の下賜は、その功績に対する最大級の評価であったといえる。
逸話・伝説
長篠城に籠城し寡兵で武田勝頼の大軍を釘付けにした奥平信昌の奮戦を、織田信長は自らの一字「信」と本太刀の下賜という最大級の栄誉で報いた。この功が後の長篠の戦いの勝利を導いたと伝わる。