※画像はイメージです。東大寺山古墳出土 中平銘花形飾環頭大刀
Todaijiyama Kofun Nakahira-Inscribed Ring-Pommel Tachi
別名: 中平銘鉄刀・金象嵌銘花形飾環頭大刀
解説
概要
東大寺山古墳出土 中平銘花形飾環頭大刀は、奈良県天理市の東大寺山古墳から出土した鉄製の大刀です。刀身の背に金象嵌で刻まれた「中平」の年号が、日本で出土した銘文入りの刀剣として最古級の資料とされています。東大寺山古墳出土品の一括で2017年9月15日に国宝に指定され、現在は東京国立博物館に保管されています。
銘文と年代
刀身の棟に金象嵌で24文字の銘文があったと考えられ、「中平□□年五月丙午造作支刀百練清剛上応星宿下避不祥」と読まれます。意味は「中平の年の五月丙午の日に、この刀を造った。よく鍛えた強い刀で、上は星宿に応じ、下は不祥を避ける」というものです。中平は後漢の霊帝の年号で、184年から189年にあたります。刀身は後漢で作られたもので、古墳に副葬されたのは4世紀とされるため、製作から副葬まで相当の時間が経っています。
形状と作り
全長は約110センチメートルで、刀身はわずかに内反りです。もとは素環頭大刀だったものが日本で環頭部を付け替えられ、柄頭に青銅製の花形飾環頭を持つ姿になったと説明されます。刀身は鉄製で、百練(何度も鍛えた鉄)を誇る銘文の通り、当時の中国の高度な鍛造技術を伝えます。
歴史的な意義
中平年間は、『後漢書』などが伝える倭国の乱の時期と重なります。そのため、この刀は乱の終結後に後漢王朝から倭の王権へ贈られたものと考えられ、当地の勢力が中国と通交していた可能性を示す資料として注目されてきました。ただし、賜与の経緯を直接示す記録はなく、あくまで有力な解釈の一つです。
出土と現在
東大寺山古墳は奈良盆地東部の丘陵上にある古墳で、粘土槨の東側の墓壙から本刀を含む多数の鉄製武器が出土しました。出土品は東京国立博物館の平成館1階で常設展示される期間が長く、日本刀の源流をたどる資料として見ることができます。
逸話・伝説
後漢の年号「中平」を刻む刀身が、倭国の乱の後に後漢から倭へ贈られ、のちに大和の古墳へ副葬されたと考えられている。